世界チョコレート成績表: 日本企業は児童労働と持続可能性の取り組みスコアが芳しくない結果に

2021 年 3 月 19 日

マイティー・アース(Mighty Earth)

inquiry@mightyearth.org

2021世界チョコレート成績表:「ワースト賞」はストークが受賞、アルテル・エコ、トニーズ・チョコロンリー、そしてウィッタカーズが「優良賞」を受賞、ゴディバは2020年の最下位からランクを上げる

ワシントンDC – 環境問題と人権問題に先頭に立って取り組む非営利団体であるマイティー・アース(米国)、ビー・スレイバリー・フリー(オーストラリア、オランダ)、グリーン・アメリカ(米国)、インコタ(ドイツ)、および全米野生生物連盟(米国)が、毎年発表するチョコレート成績表を公開しました。チョコレート成績表は、世界最大手のカカオ取引会社、チョコレートメーカー、および小売会社を評価するものです。チョコレートメーカーはいまだにカカオ生産に関連する社会問題や環境問題の解決に至っていない実態が、成績表から明らかになりました。日本はアジア最大のチョコレート市場で、2018年の小売売上高は約5100億円を記録しました。しかし、日本企業は調査対象となった企業の最下位付近との結果になりました。

ドイツに生産施設を構え、21の子会社を世界各地に展開する菓子メーカーである
ストークが最下位となり、責任ある対応と透明性の欠如からワースト賞の受賞に至りました。同社のブランドには、ヴェルタース・オリジナル、リーゼン、トフィフィ、メルシー、カラフル・ワールド、そしてベンディックスがあります。

「優良賞」は、トップ3にランクインした以下の企業が受賞しました。

  • アルテル・エコ。米国に拠点を置く企業で、商品は米国とヨーロッパで流通しています。今回初めて優良賞を受賞しました。
  • トニーズ・チョコロンリー。オランダに拠点を置く多国籍企業で、2年連続で優良賞を受賞しました。
  • ウィッタカーズ。ニュージーランドに拠点を置く企業で、商品は主にオーストラリアとニュージーランドで販売されています。同地域は2年連続で優良賞を受賞しています。

昨年までのワースト賞の「受賞者」となった各企業は、全体として持続可能性の取り組みを大きく向上させました。2020年にワースト賞を受賞したゴディバは、生計維持所得と環境保護に関するポリシーを大きく前進させました。また、2019年にワースト賞を受賞したスクダンは、持続可能性の全てのカテゴリーで前進を見せました。

「この成績表があれば、米国、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などの国々の消費者は、どの企業が持続可能性の推進に成功しているのか、そしてどの企業のお菓子には森林破壊と人権侵害という傷がついているのかを知った上で、チョコレートの購入判断ができます」と、全米野生生物連盟でシニアアドバイザーを務めるエテル・イゴネットは述べています。

各団体は、31社のチョコレートメーカーとカカオのサプライヤーの調査を行いました。各企業のウェブサイト、ESGレポートや他の広報をチェックした上で、各企業とコミュニケーションを取って、情報を確認しました。これらの各企業が世界のチョコレート生産に占める割合は80%を超えていると見積もられています。チョコレート業界が直面している中で最も喫緊の持続可能性に関する問題の6つである、人権リスクの特定、トレーサビリティと透明性、森林破壊と気候、アグロフォレストリー、生活賃金、そして児童労働への取り組みをカテゴリーとして、各企業の総合評価が算出されました。

カカオ会社、特にガーナとコートジボワールを対象地域とするカカオと森林・イニシアチブに参加している会社は、それぞれのサプライチェーンのトレーサビリティ向上につながる重要なステップとして、2018年から100万を超える農園のマッピングを行っています。大手のチョコレートメーカーのほとんどは、コートジボワールのサプライチェーンの少なくとも一部を、マイティー・アースのカカオ・アカウンタビリティ・マップで公開しています。

「世界全体で、トレーサビリティのカテゴリーで、ここ数年で最大の前進が見られました」と、グリーン・アメリカで労働問題関連キャンペーンのディレクターを務めるシャーロット・テイトは述べています。「成績表のその他全ての問題に取り組むためには、各企業はまず、カカオがどこから来ているのかを知る必要があります。それがわからなければ、児童労働、農家の貧困、または森林破壊に終止符を打てる可能性はほぼありません。各企業は、サプライチェーン全体で完全なトレーサビリティを確保し、それに加えて透明性のある報告を行っていかなければなりません」

日本企業は農園までのトレーサビリティではまだ苦しんでいますが、改善の兆しも見られます。森永製菓株式会社(森永)は2025年までにカカオ豆の調達で100%のトレーサビリティの確保を計画しており、不二製油株式会社は取り扱うカカオを2030年までに第三者による認定済みのカカオ豆からの調達に切り替えるとのポリシーを打ち出しています。

トレーサビリティの傾向に加えて、成績表では農家の収入に関する情報も紹介されています。「チョコレート業界に集まる金のうち、カカオの生産国やカカオ農家に流れる割合が不十分です」と、オーストラリアのビー・スレイバリー・フリーの共同ナショナルディレクターを務めるファズ・キットは述べています。「ほとんどのカカオ農家は日収が1ドル以下で、農園で働く女性はわずか日々0.30ドルの収入しか得ていません。コロナ禍による経済の混乱から、特に大きな影響を受けています」。伊藤忠商事株式会社、明治ホールディングス株式会社、および森永は、農家の貧困対策のための具体的なポリシーを設定していませんでした。

イースターのグローバル成績表では、日本企業が過去4年間で徐々にではあるものの着実に前進している傾向も浮かび上がりました。しかしそれでも、日本のチョコレートメーカーは、さらに厳しいトレーサビリティのポリシーを打ち出してモニタリングとルールの徹底を行うことで、カカオのサプライチェーンにおける児童労働、貧困、そして森林破壊に終止符を打たなければなりません。日本の業界は、SDGの目標達成のために迅速に改革を行わなければ、海外勢に差をつけられることになります。
マイティー・アースで日本プロジェクトマネージャーを務めるロジャー・スミスは、「国際協力機構(JICA)が2020年に新たに立ち上げた『開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム』は、政府、業界、そしてNPOをまとめて業界全体での基準策定につながり、持続可能性に関する問題の解決への鍵になるかもしれません」と述べています。

高級チョコレートメーカーのゴディバは、2020年4月の成績表では、ポリシーが不十分であることを理由に、ワースト賞を受賞しました。2020年7月、カカオが育つ森とカカオを育てる人々を守ることを目標に、ゴディバはアースワーム・ファウンデーションと提携しました。ゴディバは、森林破壊、アグロフォレストリー、トレーサビリティ、児童労働、生計維持所得、そして殺虫剤の使用に関して定めた企業ポリシーを新たに導入しました。特筆すべき点として、西アフリカの調達先において、2025年までに農園単位でのカカオ豆のトレーサビリティを100%確保すること、そして農園の100%で児童労働のモニタリング・対策システムを打ち立てることが定められています。これらの新たなポリシーを完全に実行に移すにはさらに努力が必要ですが、ゴディバは業界最下位から中央付近までわずか1年で急上昇しました。つまり、同様の努力を行えば、日本企業も同じようにランキングを伸ばせるはずだということです。

「またこの成績表からは、アグロフォレストリーや、もっと気候に優しい栽培方法を取り入れるペースが、必要なペースに全く達していないこともわかります」と、マイティー・アースでシニアアドバイザーを務めるサミュエル・マウターは述べています。カカオ業界を問題山積のモノカルチャー農業から転換していくには、アグロフォレストリーを通して森林と農地回復にさらに注力していかなければなりません。「各企業は、樹木の苗を配布するだけではなく、カカオ農園に植えられた樹木を守り育てていくことに投資していかなければなりません。そうして樹木が大きく生長できるようにすることで、西アフリカ全体で大規模にアグロフォレストリーの採用を確実に促進できるのです」

「この成績表を見れば、うわべだけで環境保護を謳っているのはどの企業か、そして本当に意味あるアクションを起こしているのはどの企業か、はっきりしてきます」と、インコタでキャンペーンコーディネーターを務めるヨハネス・ショアリングは述べています。「何十年にもわたって業界は自主的なコミットメントを定めてきましたが、貧困も、危険な児童労働も、森林破壊も、カカオ業界にはまだ広く蔓延っています。ほとんどの企業はリスクの特定に取り組み始めたばかりで、まだ多くのギャップが残っています。このように各企業の取り組みが足りないことから、より厳しいデューディリジェンスの法整備が必要であることがわかります。」

  • 成績表の採点方法はこちらで公開しています。
  • イースター成績表2021(英語)はこちらで公開しています。
  • 昨年までの成績表(英語)はこちらで公開しています。202020192018
  • 日本とチョコレートに関する問題についてのファクトシートはこちらで公開しています。
  • 日本のチョコレートメーカーに関するプレゼンテーションはこちらで公開しています。

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ビー・スレイバリー・フリーについて

ビー・スレイバリー・フリーは、市民団体、コミュニティー、およびその他の組織からなる連盟で、ともにオーストラリア、オランダ、そして世界各地で現代版の奴隷労働の防止、廃止、撤廃に向け活動を行っています。ビー・スレイバリー・フリーには、現代版の奴隷労働の防止、撤廃、対策を現地で行ってきた経験があります。特に、サプライチェーンにおける奴隷労働に光を当てることに注力しています。ビー・スレイバリー・フリーが生み出した動きにより、オーストラリアでは現代奴隷法の可決が実現しました。2007年以降はチョコレート業界との取り組みを行い、カカオ生産における児童労働と奴隷労働の問題への対応を求めてきました。ビー・スレイバリー・フリーに関してさらなる情報は、https://beslaveryfree.com で公開しています。

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グリーン・アメリカは、米国を代表するグリーン・エコノミー推進組織で、米国の消費者、投資家、企業、そして市場が誇る経済力を活用して、社会正義にかなった、環境面でも持続可能な社会の創出をミッションとしています。1982年に立ち上げられたグリーン・アメリカは、企業や個人に経済面の戦略、組織力、そして実践的なツールを提供することで、今日の社会問題や環境問題の解決を目指しています。グリーン・アメリカに関してさらなる情報は、http://www.GreenAmerica.org で公開しています。

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マイティー・アースについて

マイティ・アースは、森林の保護、海洋の保全、気候変動への対応などに取り組む世界的な環境キャンペーン組織で、東南アジア、ラテンアメリカ、アフリカ、北米で活動しています。在来の生態系と野生生物を保護し、水を保全し、地域社会の権利を尊重するという環境配慮型の責任ある農業に向けた大規模な行動を推進しています。マイティー・アースのチームは、世界大手の食品・農業企業が環境・社会ポリシーや慣行を劇的に改善するよう説得する上で、決定的な役割を果たしてきました。www.mightyearth.org/japanchocolate

連絡先:日本の連絡先:ロジャー・スミス、roger@mightyearth.org

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全米野生生物連盟は米国最大の自然保護団体で、600万人を超える会員を誇ります。様々な境遇の米国人が協力して、野生生物の声なき声をすくいあげる活動をしています。全米野生生物連盟は、1936年から最前線で野生生物のための活動をしてきました。その中で求めてきた自然保護を重んじる価値観とは、米国全体のこれまでの遺産の中に深く浸透しているものです。全米野生生物連盟が海外で行うプログラムにおいては、天然資源の経済学、リモートセンシングと全地球的情報システム、国際法、そして熱帯地域の生態学に関する専門知識を組み合わせることで、それぞれの市場に特化したソリューションや公共政策を推進し、熱帯雨林の喪失を食い止めています。全米野生生物連盟では、「森林破壊ゼロ」農業を推進し、森林や野生生物への影響が最も大きい作物に活動の焦点を当てています。全米野生生物連盟に関してさらなる情報は、https://international.nwf.org/about/ で公開しています。